ある知り合いの女性が最近、趣味で絵を描くようになった。
「急に、どうしたの?」とわたし。
「なんか、急に描きたくなって。。。」と彼女。
それからというもの、画材を揃え、キャンバスやノートに毎日絵を描いている。
その絵はどれもとても素敵。彼女もどこか生き生きしてきたように見えた。
そんなある日、彼女からこんな話を聞いた。
12年前に両親が離婚して、お母さんと一緒に暮らしていた彼女。当時は大学1年生だった。
それ以来、お父さんは「寂しい、寂しい」になっちゃって。毎週末に必ずメールが来たり、誘われて、時々ご飯を食べに行ったりしてた。お母さんは、頑張って新しい自分の生活を作っていってるのに、お父さんは12年経っても何も変わらない。仕事以外何もない。だから娘に甘えてくる。
でも、ほんとうは、ずっと、イヤだった。
12年間、ずっとイヤだった。メールも会うのも気持ちが重くなった。
でも、そうしなきゃいけないって、ずっと思っていた。
だって、お父さんが可愛そうだから。独りになって寂しくて自殺しそうで怖かったから。
だって、お父さんを支えてあげられるのは私ししかいないから。
でも、ずっとイヤだった。
いつも私を見下したような言い方して。都合が悪くなると逆ギレして。
なにかあると「大学を出してやったのに、たくさんお金使ったのに」と言われる。
人に紹介するときも「こいつは三十路になったのに、まだ結婚もしてなくて、正社員にもなれないような娘なんですよね〜いや〜困っちゃうな〜」って感じで言われる。
そのたびに、傷ついてきた。
自分って駄目な人間だなってずっと思ってきた。
で、先日会った時、またそんな態度を取られて、家に帰ってきたら無性に腹がたって。。。
もう、うわーって、恨みと怒りしか出てこなくって。身体に蕁麻疹が出て。
「メールで思ってたこと伝えました!」
それも、感情的ではなくてちゃんとした言葉で。
それを聞いて、わたしは嬉しくなった。。
そうか、ずっとイヤだったって、ず〜〜〜〜〜〜っと言えなかったんだね。
イヤだって言ってもいいんだって、自分で気づけたってすごい!
そうか〜〜〜〜。言えて良かったね。
イヤだなって思っても、人ってそれを飲み込んでしまうことってできる。
仕方ないな〜って平気なふりもできる。
でも、本当はイヤだった。それが真実。
彼女は、絵を描くようになって、自分自身を表に出していけるようになってきたんだと思う。
感情はことばじゃなくても、絵や音楽でも出せる。
出していかないと、ずっと蓄積されるだけ。
そして相手は何も気づいていない。だって傷つけてるってわかってないもの。
だから同じことを繰り返されるだけ。何度も何度も。
イヤだって、ことばで伝えないとわからないよね。
言っていいんだよ。こんなこと、たいした事じゃないからって思ってない?
言っていいんだよ。イヤだって。
あなたは優しいから。でも、自分が犠牲になってはいけないよ。
それはワガママとは違う。
自分の心が「出してー出してー」って言ってるんだ。
ことばで、すぐに言えなくても、絵や音楽でもいい。
自分自身を、表現して出してあげる。
それがすっごく大切だよ。
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